採用格差の時代!学生と企業はどう動くか?
はじめに
GWも明け、就職活動は後半戦に突入しようとしています。現状で経団連に加盟している企業は内定を出すことは出来ませんが、実際には水面下で囲い込みが続いてる状態です。
企業の採用活動が激化している背景に、採用市場の大きな変化があると考えられます。
以下、リクルートワークス研究所の最新就活市場レポートをご覧いただき、採用側と就職活動中の大学生双方の観点から読み解いてみましょう。
有効求人倍率から見る大卒市場(就職活動市場)の現状
リクルートワークスが発表した最新の大卒求人倍率調査 | 調査結果では、大卒の有効求人倍率は1.88倍と7年連続の上昇となりました。
全国の民間企業の求人総数は、前年の75.5万人から81.4万人へと5.8万人増加している一方で、学生の民間企業就職希望者数は、前年とほぼ同水準の43.2万人であり求人に対して、38.1万人の人材不足となっており、一般的には求人難が続くと考えられます。
しかし、このことをミクロの視点で見てみると、現状はちょっと違って見えてきます。
求人倍率は上昇傾向にあるが、市場に大卒者が圧倒的に不足している状態。
これが意味するのは、企業間の採用格差です。
以下、調査報告書のサイトからの引用です。
- 従業員規模別に見ると、300人未満企業(中小企業)では9.91倍と、前年の6.45倍から+3.46ポイントと大きく上昇し、過去最高となった。
5,000人以上では0.37倍と、前年の0.39倍から-0.02ポイント低下しており、従業員規模間の倍率差は拡大している。 業種別に見ると、流通業は12.57倍と、前年の11.32倍より+1.25ポイント上昇した。また、建設業は9.55倍と、前年の9.41倍より+0.14ポイント上昇した。
驚くべきことに、中小企業の有効求人倍率がなんと9倍越であることです!一方で従業員規模5000人以上の企業は0.37倍と、同調査によれば大きな格差がみられます。
学生は就職活動において大企業に目を向けているということであり、企業は今までにない採用戦略を立てる必要がありそうです。
企業に求められる戦略的姿勢
従来、企業の採用担当は管理部門的な側面が強く、主体的に戦略を立てて動くという認識が欠如していたのが事実です。
また、人事担当者はジョブローテーションの一環で配属される可能性が高く、過去のノウハウが蓄積しにくい状態にあります。
しかしこうした採用難の時代に、企業の採用担当は一層戦略的な採用を考える必要があるのではないでしょうか。
今までの様に就活生向け求人媒体に掲載する、就活の合同説明会に出展するといった古いやり方では、優秀な学生を囲い込むのは難しいでしょう。
学生からの認知度を上げるだけではなく、ロイヤリティ獲得からクロージング戦略まで一貫したストーリーを描いた採用戦略が求められます。
学生は人気ランキングよりも、自分との適性などを判断軸に
こうした採用市場の現状は、先に述べたように学生にとっても楽観視できる状態ではありません。多くの学生が大企業への就職を望んでおり、そのほとんどが希望通りにいかないわけですから。
そもそも就職において「大企業に行くこと=成功」のような思考を捨てたほうがよさそうです。今はITによりあらゆる老舗業界に破壊が起きている時代です。かつで輝かしい業績を誇っていた日本の製造業や金融業は、今厳しい状態にさらされています。
一方でIT産業を中心に、これまで人気の中心になかった業界やベンチャー企業が台頭してきています。
学生は就職活動をする上で、企業のブランド力よりも「自分の価値観に合っているか」「キャリアアップが望めそうな会社か」等、よりロジカルな判断軸を持つ方がよいのではないでしょうか。
就職活動においてこうした考えを持つことは、漠然として根拠がハッキリとしない志望動機から、確固たる志望動機へとレベルアップするでしょう。