平気で「ウソ」つく就活生のリアル
先日、就活を終えようとしている大学生の後輩から、長らく保留にしていた内定を蹴っていいかどうか、相談を受けた。
後輩は3月上旬に某大手IT企業から内定をもらっていたが、パイロットの採用試験が終わるまで就活を続けるということで人事と合意していた。パイロットに落ちたら就活を終えるという暗黙の合意を交わしたそうだ。
しかじ、実際にはパイロット採用以外にも、他の航空会社をコッソリ受け、内定を得ていた。そしてパイロット採用に落ちた今、航空業界に進みたい思いが益々強くなり、もらっていた内定を蹴ってもいいか悩んでいるそうだ。
「御社が第一志望です」
就活生が言うフェイクワードTop5以内には必ず入るであろうこの言葉。最終面接が近づくにつれて人事や採用担当者はほぼ必ず志望度を聞いてくるだろう。
学生は思っていなくてもほぼ必ずこの嘘をつくだろう。そして内定を複数持ったあと、本当の第一志望ではない企業はフラれてしまうのだ。
※ちなみに「他の会社も受けていますか?」と聞かれたら「自分を納得させるため、一応同じ業界は受けてはいます。」的な感じでぼやかすのが無難だろうw
学生が悪いのか?
就活はお金も時間もかかる上、体力的にも精神的にも決して楽ではない。第一志望から内定をもらうまで他者の内定を断り続けていたら、内定ゼロに終わるリスクがある。
学生にとってありとあらゆるウソや誤魔化しを図ることは、単に合理的だということ以上に、そうせざるを得ない構造的な問題があるからだ。
42万円!?
第一に、就活にかかる学生への負担だ。これを見て欲しい。
都内の学生であっても、就職活動にかかる費用は決して低くはない。往復の交通費に加えて、1日に複数回の予定があるときは食費もかさむ。
更に地方の学生となれば、コストの問題はバカにならない。
学生としては、わざわざ選考を受けに来てまで馬鹿正直に答えようというインセンティブは無いのだ。
就活というシステム
第二に、時期を限定して雇用機会を与える就活システムだ。
就職活動は日本人にとって、人生で”唯一”キャリアを自由に選択できるチャンスだ。それを逃すと後は無い。
海外ではこのSHUKTSUは奇妙に映る。海外では新卒雇用なんで珍しいし、その分様々なキャリアを歩んでステップアップしてゆく。
雇用の流動性も極めて高い。
一方で日本は就活を逃すと「第二新卒」や「中途」のレッテルを張られ、きわめてキャリアアップは困難だ。
学生からしてみたら、就職活動中は何としても内定を死守しなければという焦燥感がある。
ならば、嘘をついてでも自分の内定を確保しようとするのは極めて自然だし合理的な行動だ。
就活を「だまし合いの茶番」とみるか「学生と企業の交渉」とみるかは人それぞれだが、こうした駆け引きを生んでいる背景には構造的な理由がある。